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help リーダーに追加 RSS 東京都庭園美術館、「船越桂・夏の邸宅」へ

<<   作成日時 : 2008/07/28 15:29   >>

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痛みが薄くなったとはいえ、いまだ歩行には困難さがあるのですが
ステッキ・チェアーを抱え込み、落語にある「目黒のさんま」よろしく
目黒まで足を伸ばしました。
黒のニット・タイを首に巻きつけ、インディア・マドラスのジャケットを
羽織りました。すこしばかり暑いですが、地下鉄の車内は冷房が強いので
丁度よい塩梅でした。
さて、行き先は東京都庭園美術館で開催されている「船越桂展」です・
広大な敷地の自然教育園の中にある美術館には初めて訪いをみましたが、
心地よさに包まれました。
アールデコ装飾で彩られた室内に、船越桂の彫刻郡がうまく折り合いをつけ
発光をしています。
なんという美しさでしょう!
首の長い「ふたなり」の人形が部屋の調度と一体をなしています。
たわわな乳房をあらわにしての木彫りの人形彫刻の目は、
どこか哀しげに映ります。
「言葉を掴む手」と題された作品は磨かれた浴室のバスの前に置かれ、
その殆どが等身大ですので、より実感として圧倒され、たじろぎをみます。
照明の当て具合、作品の配置、どれをとっても見事なもの。
帰りしなに作品の設置は学芸員さんが行ったものか、それとも作者が
セッティングをしたものかと尋ねますと、作者自ら配置を行った由との事、
納得をいたしました。
九月いっぱいまでですので、多分、もう一度お訪ないをするつもりです。
入り口で手渡された資料を帰ってからよんでいると、庭園美術館副館長の
塩田さんが実に適切なる解説をしておられます。

◎特集・船越桂・夏の邸宅

「アール・デコ空間と彫刻、ドローイング、版画」

【ヨーロッパやアメリカでは個人の邸宅だった建物を、
美術館として使っているというケースがいくらもあります。
生活のにおいが染み付いた居室のそこここに、その家の住人が
楽しんでいたかのように絵や彫刻が飾ってある。
そんな贅沢で親密な空間に出会うと、ホワイトキューブ、
つまり白い壁に囲まれた四角い展示室こそ最高という通年は、
たちまち消し飛んでしまいます。
昨年の夏、ヴェネチアを訪ねたときのことです。
デザイナーのマリアノ・フォルチュニィがかって住んでいた館が
美術館になっていて、そこである有名なキュレーターが
企画した展覧会が開かれていました。
もともとのコレクションであるルネサンス絵画や象や蛇の剥製、
人体の解剖模型や珍奇な石や標本に混じって、
最先端の現代美術が展示されていて、その組み合わせがなんとも
新鮮で、ひとつひとつの作品に思いがけない
発見をもたらしてくれる、そういった展覧会だったのです。

そのときわたしはその2週間ほど前に、彫刻家の船越桂さんが
庭園美術館を訪れたときのことを思い出していました。
船越さんの個展準備の一環として、休館日を狙って実際の空間に
作品を置いてみようということになったのです。
船越さんとアシスタンの2人がヌードの女性半身像を抱えて、
淡色の風景画が四囲に描かれた小客室や大広間、
書斎の机の上、果ては浴室にまで置いてみたのです。
それは何ともなまめかしく、妖しい光景でした。
この瞬間、船越さんは展覧会の成功を確信したに違いありません。
彫刻は空間に活かされもするし、死にもする。
ホワイトキューブの美術館ではとかくよそ行きになりがちな作品が、
個人の邸宅では全く違う表情を見せてくれます。
いうまでもなく庭園美術館は日本では珍しい邸宅美術館。
その空間は装飾美術だけでなく、現代美術にも意外と似合うのです。
船越さんの今回の個展が、作品鑑賞のありかたに一石を
投じることになるのを、わたしはひそかに期待しているのです。】
(特集・船越桂・夏の邸宅・塩田純一さんより引用)

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